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0.0 hrs last two weeks / 22.3 hrs on record
Posted: 15 Jan @ 7:58am
Updated: 15 Jan @ 8:04am

Ver.1.0f2で初回クリア。クリア後に解放されるアレンジモードをVer.1.0f5、ハードコアモードをVer.1.0f11でクリア。計19時間半で全実績解除。ファイルサイズは約1.2GB。

Pros:
  • 旧作との繋がりの示唆
  • より綺麗になったドットグラフィックス
  • 滑らかなアニメーション
  • 優れた操作性
  • 美しい旋律
  • 程よいボリューム
  • 抜群のコストパフォーマンス

Cons:
  • 攻撃予兆エフェクトで攻撃が視認しづらいことがある
  • 難易度による攻撃パターンの追加がない

より間口を広げる形で調整されたシリーズ完結作

 まずは素敵な作品を世に送り出してくれてありがとうございます。可愛らしいキャラクターが登場するも、時に残酷な影を落とすことのある世界観に魅了されました。市場での人気が高かった月下のレクイエムに寄せた2Dの続編が登場するというアナウンスからリリースを待ち望んでいましたが、その期待に十分応えてくれる内容でした。

 私は月下のレクイエムからMinoria、そして本作と3タイトルしか遊んでおらず、シリーズの旧作すべてを遊んだわけではありませんでした。Momodoraの名を冠する作品を遊んでおきながら、その中核たるモモ・レイノルとイサドラ・ドラリーナのこれまでの物語を知らないままに本作を手に取ったわけです。結果から述べれば、旧作のことをまったく知らなくても存分に遊べました。旧作との繋がりを補完するメモだけでなく、旧作との繋がりを連想させる描写によって、本作を遊び終えてから旧作を知りたくなる魅力を伴っていたように感じます。

 ドットグラフィックスはより進歩を遂げており、解像度の変更すら不可能だった月下のレクイエムよりも細かく描画されるようになっています。物語の起点であるコホ村の月明かりに照らされた村並など、光の描写がより印象に残るようになりました。それにより明るい場所と暗い場所の対比が旧作よりも際立っているように感じます。プレイアブルのキャラクターはKawaiiし、猫もなでられる。

 本作でもキャラクターのアニメーションは滑らかに遷移します。攻撃のモーションやローリングのモーションと、攻撃発生や無敵発生のタイミングが乖離していないことから、攻撃を当てたときや回避したときのSEと相まってアクションの納得感が強く感じられました。止めとして見せるフレームと中割のフレームのバランスが良いのだと思います。

 ステートごとのアニメーションは気持ち長めとなっており、攻撃を出し切るとキャンセルできないことから、コンボの3連撃は敵の行動を見ながら状況に応じて1発止めや2発止めからローリングした方がいい場合があります。このあたりのゲーム性には少し慣れる必要がありますが、次のコンボ攻撃の受付猶予が長めなことにより、遅らせてボタンを押しても攻撃が繋がるあたりで操作性の良さを感じられるかと思います。

 暗い闇が渦巻くような鐘の音色に始まり、状況ごとに用意された多様なメロディは緩急の差が大きく場を大いに盛り上げます。Koho Moonlightのようにゆったりとした曲から勇ましい印象を与えるSpringleaf Assault、旧作での旋律が含まれたラスボス戦で流れるSelin's Last Dance、そしてタイトルにもなっているエンディングで流れるサビがエモいMoonlit Farewellなど。美しい楽曲の数々は今作でも健在です。ゲームをクリア後、秒でサウンドトラックを購入いたしました。

 ゲームの難易度としてはノーダメージでボスを撃破すると特殊なアイテムが貰える仕様があった月下のレクイエムと比較すれば、そこまで難しくはないと思います。セーブファイルが消失するハードコアモード以外ではデスペナルティもありません。アイテム取得時にはオートセーブが行われ、再開時に取得したアイテムは入手済みとなっています。HPやMPを回復できるセーブポイントも、MPが尽きかける前には次のセーブポイントが用意されている按排です。メトロイドヴァニアの入門書としては程よい達成感を得られるのではないでしょうか。

 本作の目玉でもある紋章は、組み合わせによって大いに難易度を引き下げてくれます。特に中盤で入手可能となる1回だけあらゆる攻撃を無効化する「輝くイージス」と状態異常を無効化する「菊花」あたりは、性能の割に入手タイミングが早くシナジーがなくとも単体で強力な性能を持っていると思います。余談ですが、弓の瞬間火力は高いかもしれませんが強射でのスタミナ消費によって継続的なダメージアウトプットでは、現状近接攻撃に軍配が上がっているかもしれません。

 初回プレイでかかる時間は人それぞれだと思いますが、2周目以降はアイテムを集めながら進めても5時間程度で終われる程よいボリュームです。社会人にとって周回が苦にならない拘束時間のラインを心得ているのがシリーズの妙。クリア後に解禁されるゲームモードや、鐘を後回しに進めたときのテキスト差分など、リプレイを促す要素もそれなりにあるかと思います。


 私が本作で気になった点といえば、攻撃予兆エフェクトと攻撃エフェクトが重なることで敵の攻撃が視認しづらいと感じることがあったのと、難易度によるボスの追加フェーズや攻撃パターンの追加がなかったことが残念だった点です。本当に些細な点としては、後半に出てくるNPCのモモに対して話す二人称が「小さき人、あなた、司祭」で揺れていましたが、こちらは看過できるかと思います。


 月下のレクイエムは今やSteamの鉄板おすすめタイトルと言っても過言ではなく、旧作からの期待値を上回る必要があったことを思えば、制作陣の心労も想像に難くありません。月下のレクイエムのときのような攻撃パターンがわからない初見プレイ時におけるボスの手強さみたいなところから、おそらく間口を広げる形で調整された今作は、より多くの人に手に取ってもらえるものと評することができると思います。

 個人的に値段はてっきり2980円~3480円ぐらいでリリースされると思っていたので、正直安いと思いました。程よい時間で遊びきることができるメトロイドヴァニアをお求めの方におすすめです。本作でモモとドラの物語は終わりといわれていますが、いつか更に高まった技術でSteamではリリースされていない1や2を新たに描き直す形でリメイクを出してくれたら嬉しいなぁと、早くも思ったりしています。

 最後に、白いワンピに黒のニーソをはいていても、司祭なんです。
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1 Comments
𝑺𝓪𝓴𝒾 15 Jan @ 8:00am 
:cupup: