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Posted: 13 Oct, 2019 @ 9:14pm

2000年8月12日に起こったロシア原潜クルスクの沈没事故を題材にしたアドベンチャーゲーム。
ロシア海軍技術士官として原潜クルスクに潜入し、新型魚雷シクヴァルの情報収集を試みる西側の工作員にまつわる架空の物語が描かれます。プレイ前に実際の事故に関する簡単な概要程度を読んでおくと、多少は物語や用語の理解がスムーズになるかもしれません。

ストアページで謳われる文句の大半は過大広告で、物語のほとんど全ては原潜クルスクの艦内で淡々と展開されます。とはいえ、まあ、原潜クルスクの艦内の作り込みにはなるほど「魅力的な世界」としての特筆に値するこだわりが見てとれますネ。

その「魅力的な世界」で、プレイヤーはメインクエストを進めつつ、サイドクエストを進めたり、収集要素にチャレンジしたり、ミニゲームでハイスコアを目指したり……

メインクエストでは乗組員としての雑用をこなしつつ、機密情報を探っていくことになるのですが、雑用は本当に雑用ですし、機密情報の調査についても、スパイ活劇に欠かせないハラハラドキドキが演出されることはほぼありません。調査最中に主人公の正体が露呈するイベントは少しだけオッと思わされたものの、直後に事故が起きて全て有耶無耶に……その後はもう生き残りに向けての努力のみで、主人公がスパイであることととか、新型魚雷のことはほったらかしのまま駆け足でエンディングへ。
個々の乗組員とのやり取りも印象的なものは少なく、実際の事故を物語に取り入れている割には、事故それ自体が物語に関わってくるでもなし、事故について掘り下げて描かれるでもなし、スパイとしての緊張感があるでもなし、機密情報から驚くような真実が明かされるでもなし……物語はどこをとっても盛り上がりに欠け、「1つまみの塩を入れた水道水」といった程度の味わい。

サイドクエストも退屈な雑用のため、マーカーのない目標を探して潜水艦を彷徨わされるようなものが大半。攻略したからと言って物語に大きく影響することもなく、一言二言のセリフがあるだけ。収集要素は機密情報や記念品、ペナントなどがあるのですが、やはり面白みも報酬もありません。

ミニゲームとしては、作中のゲーム機やカードゲーム、トレーニング器具などが用意されています。これはなかなかに種類が豊富で、単純ながら出来もよく、クエスト合間の良い息抜きになりました。

潜水艦の作り込みに反し、キャラクターのモデルやモーションのクオリティは、恐らく同世代同価格帯同ジャンルのゲームと比べても低いと言わざるを得ません。実在の人物も登場しているのですが、物語の味付けの薄さも相まって、人物を見分けることを難しくしています。謎解きやパズルといった要素も素朴というかほぼ皆無で、何度か繰り返すことになるハッキング/ピッキングのミニゲームは出来が悪い割にゲームオーバーを招きやすく、収集要素やサイドクエストを進めたくなくなる一因になりました。

そういう次第ですから、オススメできないゲームとして評価することになりました。でもまあ、潜水艦の作り込みだけは本物なので、「潜水艦を舞台にしたアドベンチャーゲーム」というよりは、「ちょっと変な味付けの潜水艦見学シム」という風に受け止めるなら、セール時なんかに買っておいてもいいかもしれません。
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