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Posted: 21 May, 2021 @ 1:10am

実績を全て獲得したので、レビューを書いてみます。

心に満たされないものを持っている人には是非ともプレイして欲しい珠玉のアドベンチャー。
主人公メイは、大学を中退して両親の元に帰ってきた。
この田舎町はほぼ死に体で、さしたる産業も10年前に消滅し閉塞感で満たされている。
しかしそれでも、昔一緒だった友人や学校の後輩、教会の説教師、学校の先生、ホームレス、やんちゃ坊主やネズミ講に手を染めそうになっている少女など、たくさんの人々(?)の息遣いが感じられる。

ゲームの進行はシンプル。
メイを操作しながら、この死にかけた(そして、それでも明るい雰囲気を表面的には保っている)町「ポッサムスプリング」で約10日間を過ごす。
バンドの練習をしたり、悪友と犯罪ごっこをしてみたり、ショッピングモールに出かけたり。
そんななんでもない日常を過ごしながら、少しずつこの町に隠された秘密に迫っていくことになる。
帰ってきた初日にちぎれた腕を発見するなど、何か妙な違和感がある。

個人的に感動的だったのは、旧友の一人「ビー」の存在。
毒舌で皮肉屋の彼女は、いつもメイにそっけない態度をとる。
一緒に笑ったり、買い物に行ったり、万引きしてみたり・・・
楽し気なイベントはあるものの、妙にギスギスした雰囲気を感じずにはいられない。
昔は仲が良かったはずなのに、どうしてそんな態度をとるのか
その胸中を打ち明けるシーンはとても感動的。
演出も素晴らしく、プレイしてから時間がたっても忘れられない印象的なイベントです。

楽しみ方はいろいろ。
10日間、町の人たち全員に話して交流するもよし
バンドの練習に精を出すこともできれば、ARPGのミニゲームも用意されている。
最短でクリアしたければ、毎日、友人のビーかグレッグのもとに行けばデートイベントが始まる。
デートイベントは4回分あり、2人の内どちらかを選択することになる。
実績を取りたければ、周回プレイは必須。
私は5~6週はしたと思います。

万人受けはしないだろうけれど、とにかく刺さる人には刺さる。
私はプレイしている間、良質な小説を読んでいるような気分でとにかく楽しめた。
テキスト量もそこまで多くなく、ストレスと言えばメイの移動が若干遅いことくらい。
(しかし、町の中を目的もなく歩く時間すら楽しい)

音楽も素晴らしく、イベント毎に全て異なるBGMが充てられていたことには驚き。
おかげで、サウンドトラックをかけると、何日目のどのイベントなのかが明確に目の裏に浮かんできてしまう。

この町に隠された真実を解き明かした後、10日間の人々の交流の中に多くの伏線があったことに気づかされる。
多くは語られず、残りははプレイヤーの解釈に任される。
是非、スローライフ的かつスリリングなポッサムスプリングの日常を楽しんで欲しい。
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