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0.0 hrs last two weeks / 581.5 hrs on record (496.4 hrs at review time)
Posted: 6 Jun, 2022 @ 8:02am
Updated: 6 Jun, 2022 @ 8:16am

だいたい500時間くらい遊んだ。
すごく面白い。
たぶんまだ遊ぶので、現状の感想を書き込んでおく。

あと人がいたほうが面白いゲームなので、定期的に遊ばせてもらっている場所を先に紹介しておく。

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■第一層:本作はパーティゲームである
 シンプルかつ直感的な操作でマシンを駆動させ、ランダムに降るアイテムを駆使した妨害合戦を楽しめる。コントローラーでの操作に最適化されているので、特にこだわりがなければコントローラーを接続して遊ぼう。スティック1本とボタンが2つ付いていればなんでもよい。

 物理演算による機体同士のぶつかり合い、被弾時の跳ねっ返りなどによる予測不可能&コミカルな動きのおかげで、勝っても負けても楽しく遊べる。まさにパーティゲームといった感じ。

 ゲームモードは3つ存在しているが、背後から迫る巨大ロードローラーから逃げながら妨害合戦をする「デスレース」が、本作の面白さの9.9割を担っている。よって、このレビューも基本的にデスレースを前提に書き進めることとする。

 ロードローラーの速度は先頭との距離によって変化(距離が開くと加速)し、ラウンド開始から時間が経過するとさらに加速する。このルールによってワンセンテンスが短く済み、攻防にドラマが生まれる。爆発的に加速した殺人ローラーの目前で足を引っ張り合うのは何度やっても楽しい。

 一応別のモードにも触れておくと、上位を維持し続けることでポイントを得られる「キングオブヒル」はそこそこ遊べるが、素早くコースを周回する「レース」には後続を自動でピックアップ(先頭との距離を一定に保つ)仕組みがあるため、前半戦の展開にほぼ意味がない。あくまで練習用として割り切るのが良いのではないかと思う。

 また、パーティゲームなのでソロモードはやや退屈。これによって解禁される機体はいずれもクセが強いものばかりで、初期機体の上位互換のようなものは出現しないのが救いだろうか。そのクセの強さゆえに愛用者もチラホラいるので、ヒマなときにでもやっておくとよい。

■第二層:本作はレースゲームではない
 登場する機体には「Acceleration」(加速)、「Mass」(重量)、「Handling」(ハンドリング)というステータスが設定されており、まぁだいたい名前通りの効果を持っている。

 ただし、本作におけるAccelerationは加速度の高さ(最高速に達するまでの速さ)を示すもので、全機体の最高速は同じに設定されている。ヨーイドンで走った場合、マシン同士に距離は生まれるものの、普通に走っているとその差は一生縮まらない。それを埋めるのがアイテムの役割だ。

 加速を得るアイテム(仮にブーストと呼ぶ)と、敵を攻撃できるアイテム(仮に武器と呼ぶ)は別カテゴリ扱いになっており、同時に1つずつ装備できる。そして、ブーストは常に先頭より後ろに生成される。

 この仕様により、ブーストで加速した機体が先頭に立ち、ブーストが切れたらまた後続がブーストを拾って先頭が入れ替わり、また後続がブーストを……。というループが発生する。これが基本構造なので、そもそも常に先頭を目指して走る“レースゲーム”とは根本的に考え方が違う。

 レースという考え方を取っ払うと、レースではありえない戦い方が選択肢に入ってくる。具体的には、前線に立った機体が後ろを向いて武器を発射してきたり、足を止めてブロックしてきたり、なんなら逆走して積極的にロードローラーにねじ込もうとしてくる。

 前述の通りロードローラーは“先頭との距離”によって加速するが、ラウンド開始直後はその加速も緩やかになるよう設定されているようで、序盤は先頭を駆け抜けて後続を轢き潰すといった戦略を取るのは難しい。

 加えて、あらゆる武器は前(マシンの鼻先)から攻撃が出る仕様になっているので、先頭を走る機体は背後にいるすべての機体から攻撃を受ける可能性がある。そのため、先頭も後続に向けて攻撃を行うのも一定の価値がある戦略のひとつとなっている。

 もちろん、ラウンド開始からある程度時間が経ったタイミングや、ブーストを握った状態で最前線に立ったときなど、走り抜けてしまった方がよい場面も多い。状況に応じて最適解が真逆に変化するのも、このゲームの面白いポイントだと思う。

■第三層:本作は格闘ゲームでもある
 コースには壁があり、武器を適当にヒットさせただけでは意外と撃破できないシーンも多い。「ではどうやって落とすか」を考え出すと、とたんに読み合い部分の深みが見えてくる。

 本作における武器(名前は適当)は、長射程・即時着弾・低威力のミニガン、壁に反射する丸ノコ、近くの敵機体を押し出す謎バリア、ターゲットを追尾するミサイル、移動速度を低下させるスライムと、そこそこの種類がある。

 スライムを除いた各武器に共通する要素は“敵機体を動かす”効果があるということ。ミサイルであれば、敵機体はヒット地点から高く飛び上がり、発射方向に向けて動く。丸ノコであれば、敵機体は時計回りに回転しながら、発射方向に向けて少し動く。

 これらの効果には、機体の慣性が乗る。つまり、前にブーストをふかして走ってる機体に後ろからミサイルを当てれば、目にも止まらないスピードで吹き飛んでいくことになる。

 最初の「どうやって落とすか」の答えはこれで、機体がコースの外に向けて動いている時に、コースの外に向けて武器をヒットさせれば高確率で撃破できる。特に、否応なしにコース外に向けた慣性が生まれるカーブは“殺しの間”だ。

 だが、相手もそんなことは百も承知なので、カーブでは一時的に速度を落としたり、アウトコースからインコースに向けて曲がることで外への慣性を減らしたり、種々の工夫をするだろう。ここが読み合いの発生タイミングだ。

 早めにインコースに向けてミニガンを発射したり、速度を落とした相手にミサイルを打ち込んだり、相手の対処を潰す策を取れる。先行側は丸ノコを背後に撃つ、カーブに入る前にコース脇で停止して前後の入れ替えをはかるなど、いろいろな動き方を考えられる。

 また、Massが髙い機体はAccelerationが低めに設定されていることが多く、停止という選択肢をとりにくい。そのかわりに髙いHandlingでカーブを鋭く曲がれるので、軌道をそらしてインコースを取る戦略が強力だ。……といった具合に、ここで機体ごとの差異が重要になってくる。

 さらに、浮遊機体は空中で方向転換が可能だったり、ドリフト中は外部からの押し出しにやたら弱くなる仕様があったりと、細かな仕様にもどんどん使い道が出てくる。対策と対策の重なり合いが無限に発生するさまは、まさに対戦格闘ゲームのそれだ。

■第四層:やっぱり本質はパーティゲーム
 いろいろ書いたが、そもそも最大8人で遊べるゲームに政治的要素(ヘイト管理)がないわけがない。なんとなくムカつくやつに点数を無視して殴りかかることもあるだろうし、そういったプレイスタイルが基本だろう。

 加えて物理演算の不規則な動きも、競技として見るには扱いが難しい面もある。極めて多彩なテクニックがあり、競技的に楽しめるゲームではあるが、やはり本質はドッカンワハハなパーティゲームだ。

 だが、4人前後で戦うとだんだんと“勝ちたい”という気持ちが高まってきて、頑張ればそれがテクニックで成就できるゲームでもある。基本はパーティゲームとして楽しく遊び、「やるぞ」という雰囲気になったらガチでもやれる。自分はそういった、このゲームの懐の深さの部分に惹かれたのだと思う。

 まとめると、本作は仲間さえいれば一生遊べるゲームだと思う。そして日本には一定数のプレイヤーがいる。こんな感じのゲームを遊んでみたい人は、機会があったらぜひ触れてみてほしい。
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