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Posted: 3 Jan, 2023 @ 12:47am
Updated: 3 Jan, 2023 @ 1:34am

1944年6月6日、あなたは「大西洋の壁」の片隅で、潮風を浴びて薄っすらと錆が浮いた古めかしい機関銃にしがみつき、霧の向こうにかすかに浮かぶ歪んだ水平線を睨んでいた。ラジオからは2年前の流行歌と宣伝相閣下の勇ましい演説が交互に流れている。戦況は芳しくない。ここしばらくは連合国軍のフランス再侵攻の噂で持ちきりだ。耳ざとい上等兵曰く、上陸地点はパ=ド=カレーであるらしい。ならばきっと、ここはまだ安全だ。霧が晴れたとき、きっといつも通り静かな海が広がっているに違いない。きっと……

本作は続々と侵攻してくる大勢の敵を固定された砲台からの射撃を以て撃退する、昔ながらのBeach Headの流れをくむシューティングゲームです。題材はノルマンディー上陸作戦で、プレイヤーはドイツ軍沿岸防衛部隊の一員として連合国軍の撃退を試みることになります。ドイツ側で第二次世界大戦を戦うシューターは少し珍しいかも?

ルールは簡単、プレイヤーの砲台が全て破壊される前に規定数の敵兵を殺害すればウェーブクリアとなり、報酬としてクリアポイントが支給されます。そしてこのクリアポイントを使って、新たな砲台のアンロック、損傷した砲台の修理、対人地雷/対戦車地雷の敷設、支援砲撃の要請回数の増加を行い、次のウェーブに挑むわけです。砲台はMG08機関銃1門から始まって、最終的にはMG08機関銃x2、MG42機関銃x2、パンツァートゥルム(トーチカ化された戦車砲塔。戦車の生首)x2、88mm高射砲x3の4種9門まで増設できます。一方の連合国軍も各種歩兵のほか、ジープ、M3装甲車、M8装甲車、火炎放射器付M4戦車、魚雷艇、輸送機、爆撃機、戦闘機など様々。

規定数や敵軍の規模の強化は緩慢に行われ、太っ腹なクリアポイントのお陰で砲台のアンロックは早々に終わり、ある時点までは修理もほぼ完璧に行える……というバランスですから、なんとなく間延びした印象を受けてしまいます。恐らくは30ウェーブ前後までは特に工夫なくクリアできるんじゃないでしょうか。また、航空機から車両まで何でも自在に壊せる88mm砲が異常に便利で、せっかくの砲台の種類を活かせていないのももったいない。

とはいえ、グラフィックはある程度のリアリティを以て埃っぽく色あせた戦場の雰囲気をうまく作っていますし、友軍歩兵が砲台付近を走り回って共に戦ってくれるのも血の通った世界をささやかに演出してくれています。敵兵を満載した乗り物を破壊したときのゴア描写も派手ながら凄惨なほどでもなく。敵の種類ごとの殺害数の統計およびそれによる勲章(実績)の授与もちょっとうれしい要素。

もちろん長くやり込めるタイプのゲームではありませんが、時々起動して暇をつぶすためにライブラリに置いといてもいいんじゃないでしょうか。
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