「おくりびとってさ」
「声 届けるだろ？」
「俺さ 声はーー」
「命は楽器と共に」
「いつもこの手の中にあるって思っていたーー」
「目をそらしていただけなんだ」
「届けることはできても 救うことはできないって」
「知っていたはずなのにーー」
「目の前の命が」
「この手からこぼれていくことが」
「こんなにも辛いだなんてーー」
「何やってんだろなーー 俺」

「今夜は月 見えないね」
「でも 星の光 すごく温かいーー」

「ミオーー」

「ねぇーー」
「初めて出会った頃ーー」
「生き延びたいかって聞いたよね？」

「ああーー」

「私 どっちでもいいって」

「ああーー」

「あれ 訂正」
「私ーー 生きたい」
「生きて もっとーー」
「色んなことを知りたいーー」
「ノアと 色んなものが見たいーー」

「やっとーー」
「名前で呼んでくれたな」

「ーーそうだね ごめん」
「名前で呼んだら 気持ちーー」
「折れちゃいそうだったからーー」
「“私”の 正直な気持ちだったから」

「ミオーー」

「でもね そんな気持ちにさせてくれたのーー」
「ノアなんだよ？」
「だからーー」
「何もやってない なんて言わないで」
「ノアからたくさんの想い 届いたんだからーー」

「ミオーー」

「私 ここで止まりたくないーー」
「もし許されるのなら」
「もしこの先も 道が続いているのならーー」
「“私の”ノアと 二人で歩きたいーー」